October 16, 2016

レポート『釜山国際映画祭』

アニョハセヨ! バンクーバーから帰国したのも束の間、10月6日、監督は単独で韓国・釜山へ向かいます。『仁光の受難』の上映は9日からなのですが、今回はマーケットで海外エージェントを見つけるという目的もあり、全期間(6日~15日)の参加を決めていたのです。(ちょっと日数多いので駆け足でお送りします)

【初日】開幕式のレッドカーペット、監督を襲う圧倒的英語疲れ!(バンクーバーのように通訳スタッフが付いてくれるわけではありません)そして圧倒的孤独感!(スタッフやキャストは後日合流するのでしばらくは単独行動です)緊張でガッチガチのまま初めてのレッドカーペットをひとりで歩きます。監督曰く「(緊張し過ぎて)苦行だった」とのこと。
【2日目】日韓映画関係者の昼食会から始まり、そこで今回『仁光の受難』を選んでくれたプログラマーであるキム・ジソクさんにご挨拶。そして『HER MOTHER』の佐藤慶紀監督と知り合います。期間中に情報交換したり、英語通訳でお世話になったり、お互いの映画を観たり、とても仲良くさせて頂きました。

【3日目】ようやくスタッフが合流。そしてようやくの韓国焼肉! 網の使い方を盛大に間違えて店員に失笑されましたが美味しい! 映画祭関係者もよく集まるお店だったようで、数日前にバンクーバーでお会いしたばかりのトニー・レインズ氏とも偶然再会しました。

【4日目】午前中からマーケットにていくつかの海外のエージェント会社とミーティングがありました。『仁光の受難』の海外配給権について話し合います。仁光は尺が70分なので、長編としては短過ぎるということで難色を示す会社もありました。

午後からはいよいよ『仁光の受難』のアジアプレミア上映です。出演女優の若林美保さんも合流し、上映会場のシネコンへ。チケットはすでに完売でたくさんのお客さんに迎えられました。バンクーバーと同じく、上映中のリアクションもQ&Aもなかなかの盛り上がり。即席の韓国語自己紹介でつかみはOKのようでございました。
ひとつ感心した文化の違いは「日本よりも監督という職業にスター性がある」という点です。女優の若林さんは当然としても、上映後の監督へのサイン攻め・写真攻めが凄い! もちろん日本でもスター性のある有名監督はたくさんいますが、無名の外国人監督のサインや写真をこんなに求めてくれるとは(すごくありがたいけれど)と困惑しながら監督は応対していました。新聞社の取材なども受けつつ、遅れて映画祭主催のパーティへ。スタッフ・キャストでアジアプレミアの成功を祝いました。

【5日目】さすがに疲労困憊。安息日としました。観光地である釜山は、タクシーやレストラン、コンビニの店員に至るまで日本語を喋れる人によく会います。監督が疲労でパンパンの足をほぐしに行ったマッサージ屋さんも日本語でOK。

【6日目】マーケットで商談を続けます。この日の ASIAN SHADOWS という海外セールスエージェント会社との出会いは衝撃でした。どうしても『仁光の受難』をうちで扱いたい、という情熱がほとばしっています。とはいえ「契約」のことですから、「一旦、考えさせて欲しい」と返答。「良い監督は判断が早い」と、エージェント、上手いことを言う。幸いここは世界中の映画関係者が集まる映画祭です。このエージェントたちの評判を他の映画人に聞いてみようと思いました。

【7日目】『仁光の受難』2回目の上映日です。Q&Aはありませんが、2館別々のシネコンで上映されるということで散歩がてら入り口まで見に行きました。が、感触は分からず!
その他、監督はエージェントの契約内容(英語)に頑張って目を通しつつ、スタッフは観光などを楽しみつつ。

【8日目】ようやく『仁光の受難』釜山遠征チーム全員集合! この日は映画祭主催のパーティもなかったので、仁光パーティで盛り上がりました。焼肉を食べて、バーで飲んで、カジノで大負け! そして明日の上映最終日に備えます。
【9日目】『仁光の受難』上映最終日もありがたいことに満員御礼でした。舞台挨拶は庭月野監督と主演の辻岡正人さんを筆頭に、キャストも有元由妃乃さん、原崎朋子さん、カトウ・クリスさん、村上仁史さん、久藤今日子さんが並びます。しかも辻岡さんは仁光の劇中衣装で登場!(髪は剃っていませんが)観客からの「カッコイイです…照」というカタコトの日本語でのメッセージにハートマークと笑顔で返事。主演のサービス精神に会場が湧きました。上映後のサイン攻め・写真攻めにも快く対応するキャストたちは、さすが監督より慣れていますね。
その後は、映画祭会場で集合写真をパチリ。夜はチーム仁光で映画祭主催のパーティへと出かけました。上映成功の余韻もあり、とてもお酒が美味しい夜でした。

【10日目】日中、監督は海外セールスエージェント ASIAN SHADOWS との契約書にサインをしました。映画祭期間中に様々な映画人にこの会社の評判を聞いて全ての人にお勧めされたこと、何より彼女たち(女性社員のみ会社なので)の『仁光の受難』に対する情熱を強く感じたこと、それらが決めてになりました。「釜山でエージェントを見つけてくる」と嘯いていたことが現実となり、監督も今回の映画祭での収穫に大満足。これから『仁光の受難』がさらに世界中に飛び立っていきますように。

そして、いよいよ釜山国際映画祭もフィナーレ。閉幕式で『仁光の受難』チーム7人は堂々とレッドカーペットを歩きます。監督も2回目のレッドカーペット、辻岡さんや心強いキャストたちと一緒ということもあり別人のようにリラックスしていました。皆さんビシっとキマってますね!
アジアプレミアでの確かな手応え、エージェントの獲得、大きな自信と共に『仁光の受難』の釜山国際映画祭は閉幕しました。

次はいよいよ母国日本! 東京フィルメックスでのジャパンプレミアです! 日本で『仁光の受難』がどのように受け止められるのか、乞うご期待!

October 7, 2016

東京フィルメックス・コンペティション出品決定!

現在、『仁光の受難』は釜山国際映画祭に参加中ですが、待ちに待った朗報です!

『仁光の受難』が東京フィルメックスのコンペティション部門に出品決定しました!

ついに決まったジャパンプレミア上映! しかも初のコンペティション部門!
11月23日(祝)、有楽町朝日ホールにて、13:20より上映です!

東京フィルメックスの公式サイトはコチラ http://filmex.net/

コンペティションにはもうひとつの日本映画、内田伸輝監督の『ぼくらの亡命』や、釜山で知り合ったミディ・ジー監督の『マンダレーへの道』、釜山のニューカレンツ新人部門でグランプリをとったワン・シュエボー監督の『神水の中のナイフ』など、個人的にも観たい作品が盛り沢山です。

バンクーバーや釜山はコンペ部門の出品ではなかったため、今回は賞を獲れるのかどうかも気になるところ。やっぱりグランプリとか獲ってみたいですね。
何よりたくさんの人に観て欲しい! チケット販売は11月3日からスタートです!
東京フィルメックス、『仁光の受難』をよろしくお願いします!


October 3, 2016

レポート『バンクーバー国際映画祭』

9月30日、カナダ・バンクーバー国際空港に降り立つやいなや、ボランティアスタッフに真っ先に連れて行ってもらったのは映画祭会場、ではなく観光地!
初日は「キャピラノ吊り橋」を観光して、夜は日本作品、塩田明彦監督の『約束』『昼も夜も』、小松孝監督の『食卓』、野辺ハヤト監督の『affordance』を鑑賞し、映画祭プログラマーを交えての懇親会ではとても楽しい時間を過ごしました。
初めての北米ということで緊張気味だった監督も、日本人ボランティアスタッフの皆さんや他の監督たちとの交流でリラックスできたようです。
バンクーバー国際映画祭は最高のホスピタリティを誇ることで有名で、海外映画祭初心者にはオススメの映画祭なのだとか。
翌朝も、バンクーバー美術館でピカソ展や常設展示を見たり、サーモンを食べたり、バンクーバーを満喫する一行ですが、いよいよこの日は『仁光の受難』ワールドプレミア上映日!
徐々に緊張も高まり、最終的にガチガチになりながら会場に向かいます。

『仁光の受難』の前評判は想像を遥かに超えて良く、前売り券は完売、当日券も即完、キャンセル待ちに長蛇の列という有様でした! 地方紙に「どの映画を観ればいいか分からないやつはコレを観ろ!」的な特集で紹介されていたこともあるかもしれませんが、無名の新人監督作品にこうも人が集まるとは! 監督もずっと「え、なんで?」と困惑していました。

当然、劇場内は満席! ついに『仁光の受難』世界初上映です!
上映中はいくつかのシーンでたくさんの笑い声が起き、監督も安堵して上映を見守っていました。
そして、エンドロールが流れ始めてからの拍手喝采! もうこれだけでもワールドプレミアは大成功と言っていいでしょう!
Q&Aでは、ボレロを使用した意図、アニメーションを自分で手がけたというのは本当か、影響を受けた作家は誰だ、などなどたくさんの質問を受けました。が、監督は極度の緊張であまり覚えていないようです。笑

翌日、2回目の上映は街中の大きなシネコンでの上映でした。ハリウッドの大作映画が上映しているような賑やかな場所に、映画祭のスポンサーであるレクサスの車に乗って向かいます。
前日と同様の長蛇の列! そして、前日とは見違えるほどリラックスしまくりの監督!
余裕のダブルピースで上映に臨みます。(ちなみに海外でダブルピースをすると「君はまるでティーンエイジャーだな」とあきれられるたりするようです。いや、日本でも同じか…) 初回同様、大きな拍手で上映が終わりました。Q&A時の手振りや身体の傾きに監督の余裕が感じられますね! 調子に乗っているように見えますが、ちゃんと真摯に受け答えしていました。
上映後は3本のインタビューをこなし、他の日本人監督や映画祭スタッフの皆さんと最後の晩餐会。やりきった後のお酒は美味しく、とても楽しい夜でした。

そしてあっという間に帰国の日です。
振り返るとバンクーバー国際映画祭はとても素晴らしい映画祭でした。最高のおもてなし、最高の上映環境、最高の観客、その中でワールドプレミアを行えて『仁光の受難』はとても良いスタートを切れました。ぜひ再びこの地を訪れたいですね。
※ちなみに『仁光の受難』は好評につきこの後追加上映が決定しました。

バンクーバーでの成功を自信に変えて、次はアジアプレミア上映に釜山国際映画祭へ赴きます!